日本における残業を考える

日本人と残業

 会社に勤めた経験がある人であれば、だれもが一度は「残業」を経験したことがあるのではないでしょうか。これは何も正社員の従業員に限ったことではなく、もしかしたらパート、アルバイトの人でも同じように「残業」を経験しているのではないでしょうか。
 ところで、他の国では「残業」ってあるのでしょうか?これについて調べてみたところ、やはりすべての仕事を毎日時間内だけでこなすのが難しいというのは、何も日本国内のことだけではないようです。日本人が勤勉だというのは世界規模で知られるところですが、その意味では、残業をしているから日本人が勤勉だということではどうやらなさそうです。

 

 とは言え、「残業の有無」だけではなく、「残業時間」にまで視野を広げてみますと、やはり日本人の残業時間というのは他の追随を許さないくらいに長時間にわたるというのもゆるぎない事実です。日本人が勤勉であるという発想は、「残業の有無」ではなく、「残業時間」の部分に集約されているとするならば、これは極めて納得の発想だと私も思います。

 

 ただ、いわゆる「サービス残業」というところまでさらに深く視野を広げてみると、これは他の国ではほとんど考えられないようなことであると言わなければならず、他の国の労働者からしてみれば、これは「日本人労働者に人権はないのか?」という素朴な疑問にもつながると言います。
 しかし実際、「サービス残業」を当たり前のようにこなしている当人たちでさえ、「労働者の人権」というところまで深く考えている日本人が果たしてどれだけいるでしょうか?
 これが日本と諸外国の残業に対する見方の違いなのです。

日本人の残業代請求の傾向

 まあ正直なところ、何をもって「日本は勤勉な国家だ」と諸外国から評価されるのかはわかりませんが、少なくとも言えることは、外国人にとっては絶対にあり得ない「サービス残業」をしている人の数を見てそういうふうに考えていることではないということです。

 

 しかしその「サービス残業」について、最近の日本人労働者も諸外国の労働者の考え方に近づいてきているという傾向が如実に見られます。というのは、今までそんなことはなかったのに、ここにきてやや急激に残業代の未払い分を請求する労働者が増加の傾向にあるからです。
 これにはいろいろと理由がつくと思います。たとえば、「労働者の人権」というレベルで意識が改められてきているということ、さらには、情報が盛んに行きかうことで、残業代の未払い分の請求に関してあかるいニュースを多く耳にするようになったこともそうでしょう。

 

 そもそも労働基準法の最大のコンセプトは、「労働によって労働者があらゆる面でデメリットを背負わないようにする」というところにあるはずです。そのデメリットの最大のものが、「健康を害する」ことでしょう。

 

 健康を害するリスクを背負い、会社のために「タダ働き」をするのが「サービス残業」の本質です。古くから、上役の言うことに逆らわず、寡黙に頑張ってきたのが日本人労働者のイメージですが、ここにきてようやくそういった基本中の基本に目を向けるようになった人が増えてきたということなのだと思います。
 このことは、決してマイナスではありません。